過去にもお話ししていますが、身体的フレイルとサルコペニアには関連性があり、両者とも放っておくと要介護状態になる危険性が高まります。
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そしてフレイル・サルコペニアは、認知機能とも関連があることがわかってきています。
今回はどのような関連性があるかについて解説していこうと思います。
認知機能低下とフレイルの合併状態:コグニティブ・フレイル
コグニティブ・フレイルはInternational Academy on Nutrition and Aging(IANA)とInternational Association of Gerontology and Geriatrics(IAGG)が2013年4月に主催した国際コンセンサスカンファレンスで操作的に定義されたもので、
を要件としています。
評価用紙はこちらから↓
http://cogniscale.jp/wp-content/uploads/2017/09/CDR-J.pdf
つまりコグニティブフレイルは、軽度の認知機能障害(認知症ではない)があり、かつ身体的フレイルの状態です。
合併を裏付けるための研究は、実に様々な研究者が行っておられます。
合併率は様々で、認知機能障害は
非フレイルの10%
プレフレイルの12%
フレイルの22%
非フレイルの16%
プレフレイルの22%
フレイルの39%
非フレイルの20.5%
プレフレイルの21.7%
フレイルの48.1%
など、研究方法によってデータは様々ですが、どれも非フレイルよりプレフレイル、プレフレイルよりフレイルの方が認知機能障害を合併しやすいというデータになっています。
また縦断的調査においても、フレイル状態の者を経年的に調査し、その後認知機能が低下した、もしくは認知症を発症したという報告が数多くあります。
その逆も然りで、認知機能が低下している者は、10年後にフレイルになりやすいという報告もあり、両者が互いに関連し合うという研究結果が示されています。
互いの原因の関連性
認知機能の低下を引き起こす因子は、身体的フレイルのリスク因子にもなることが知られています。双方に関連する因子として、
これらがあります。
これらの因子が複数関わっている人もよく見かけますので、因子を少しでも減らせるようアプローチしていかなければいけないと考えます。
予防するには
コグニティブフレイルを予防するためには、基本的な介入ですが、運動・栄養管理・認知訓練などが有効と考えられています。そしてこれらを複合的に実施することでより高い改善効果が期待できます。
対象となる方の状態は千差万別で、アプローチの方法もその人によって異なると思いますが、意識すべき点としては、
・双方のリスク因子がある場合は積極的に複合的介入を行う。
・どの因子がより改善効果が見込めるかを判断し、改善させるバランスも考える。
これらを考慮してプランを立案、アプローチを考えます。
因子を効率よく取り除くことで改善する可能性が高まります。
言葉にするのは簡単ですが、実際なかなかうまくいかないことも多いです。
うまくいかなかった時は、なぜうまくいかないのかをフィードバックしながら、また違う方法を試してと、常に流動的に思考することが鍵になって来ると思われます。
まとめ
今回はコグニティブフレイルについてまとめました。
臨床では結構見受けられる病態だと思います。
介入も難しい症例になってきますが、その方に合わせた改善方法を常に模索して介入するのが、現状では一番です。
また実際にあった介入例も、今後紹介していけたらと思います。
本日は以上です、最後まで読んでいただきありがとうございます。
参考文献
:日本サルコペニア・フレイル学会誌 2018/6 Vol.2 No.1