全ての患者において栄養障害が発生する可能性があり、全対象者に栄養スクリーニングを実施することは、栄養障害のリスク患者を早期に発見するためにも重要です。
また栄養スクリーニングは、他職種も適切にデータを読み取ることが重要と考えます。
今回はリハ栄養のスクリーニングツールで用いられる「MNA」の方法を解説しようと思います。
MNA®︎とは
MNA®︎(Mini Nutritional assessment®︎)は、1999年に提唱されたスクリーニングツールです。
問診を主体とした簡便な内容で構成され、血液生化学検査を必要としないのが特徴です。主に65歳以上の高齢者の栄養スクリーニングに用いられることが多いです。
リハ栄養のスクリーニングでは簡易版のSF(Short Form)が簡便で優れているとされます。
もしSFで問題がある場合、MNAアセスメントとしてそのまま詳細な評価に移れるのも利点の一つです。
MNA-SF®︎↓ (http://www.mna-elderly.com/forms/mini/mna_mini_japanese.pdf)
MNA®︎アセスメント(http://www.mna-elderly.com/forms/MNA_japanese.pdf)
MNA®︎の活用方法
↑MNAフローチャート
SFに用いられている6つの項目をスクリーニングし、ここで12ポイント以上であれば栄養障害無しとみなされ、リハ栄養の介入は必要なしとみなします。
このスクリーニングで11ポイント以下の場合は、低栄養のリスクありと判断され、詳細なアセスメントに入ります。
アセスメントを行なった結果により、
24ポイント以上:栄養状態良好
17〜23.5ポイント:低栄養のおそれあり
17ポイント未満:低栄養
という判断がなされます。
MNA®︎使用上の注意点
スクリーニングでMNA-SFを使用する際の注意点として、
①基本的に65歳以上の高齢者を対象としていること
②低栄養のおそれあり(11点以下)が出やすいこと
③病態によっては実際の栄養状態より点数が高くなる可能性があること
が挙げられます。
①において、 65歳以上を対象としているため、若年層や中年層のスクリーニングに使っても、正しくスクリーニングができない場合があります。
65歳未満の方をスクリーニングする場合は、成人からのスクリーニングに対応したSGAなどのスクリーニングが適していると言えます。
②においては、例えば急性期・回復期の脳卒中や大腿骨頸部骨折術後の方に対して、「自力で歩けますか?」という質問はほとんどの方が0ポイント(寝たきりまたは車椅子を常時使用)になってしまいます。
また別の質問で、「過去3ヶ月間で精神的ストレスや急性疾患を経験しましたか?」も減点となり、11ポイントを下回るため必ず「低栄養のおそれあり」と判断されます。
③は②の逆パターンです。例えば著名な浮腫、胸水、腹水などを認める患者の場合、水分貯留による体重増加でBMIの得点が実際より高くなる可能性があります。
②、③はいずれも、アセスメントの段階で詳細な評価を行い、適切に判断ができるように注意が必要です。
最後に
今回はMNAについて解説しました。
非常に簡便な評価で、一般の方にもわかりやすい質問なので使用しやすいと思います。
他にもスクリーニング形式がいくつかあるので、またご紹介したいと思います。
本日は以上です、最後まで読んでいただきありがとうございます。
引用、参考文献
:リハ栄養からアプローチするサルコペニアバイブル
:リハビリテーション栄養ハンドブック
:Nestlé Nutrition Institute - MNA® Elderly - MNA® Forms