高齢者の転倒は、様々な因子が影響して起こります。そのリスク因子を評価して、転倒が起こらないように働きかけていくのが理学療法士の仕事の一つです。
転倒に関する過去記事はこちら↓
rehabilitation-nutrition.hatenablog.com
今回は、転倒リスクのスクリーニング、評価の考え方についてまとめていきたいと思います。
転倒リスクのスクリーニング
バランスや移動能力のスクリーニングは、よく使われるものとして片脚立位保持時間、FR-T、TUGなどがあります。これらのカットオフ値を参考としてスクリーニングしていきます。
転倒リスクの評価
スクリーニングで陽性となった高齢者には、多因子評価を実施して転倒のリスク因子を探る作業を行います。リスク因子は機能面から生活環境まで多岐にわたります。この場合、国際生活機能分類(ICF)に沿ってカテゴライズすることで分かりやすくなります。
健康状態
健康状態でチェックするポイントは、
心身機能と構造
筋力、バランス能力、認知機能、神経機能、心血管機能、視力、排尿機能などを評価します。運動機能面に関しては理学療法士の得意とする評価になります。簡便に評価できるツールとしては、TUGや5回立ち上がりテストなどがあります。5回立ち上がりテストは、サルコペニアの診断基準としても使用されている評価方法です。
心血管機能に関しては、心拍やリズム、血圧、姿勢変化に伴う血圧の変化などを評価することが推奨されており、理学療法士が日々確認しなければいけない事項です。
また、視力に関しては理学療法士の専門外になるため、視力低下が疑われる場合は専門職へつなげる作業も必要です。
活動・参加
活動・参加面については
環境因子
rehabilitation-nutrition.hatenablog.com
個人因子
個人因子としては、転倒恐怖心、足部と履き物の評価、アルコールの摂取などが挙げられます。履き物は
・サイズが合っていない靴
・ヒールなど踵部が高い靴
などが転倒リスクと関連しています。
また、転倒恐怖心は転倒後や身体機能低下の結果として生じるものと思われがちですが、転倒恐怖心そのものが転倒を誘発するリスク因子となりうることにも注意が必要です。
最後に
今回は転倒リスクのスクリーニング、評価についてまとめました。ロジカルに評価していくことで、リスク因子をまとめていけるよう日々考えていきたいですね。
本日は以上です、ありがとうございました。
参考:高齢者理学療法学