栄養スクリーニングツール「MUST」について
今回は栄養状態のスクリーニングで使用する「MUST」についてまとめていきたいと思います。
栄養状態を把握しておくことは、理学療法士がリハビリを実施する上でも非常に重要です。
このスクリーニングの判定が何を意味するのか、知識として持っておきましょう。
MUSTとは
MUST(malnutrition universal screening tool)は、イギリスの静脈経腸栄養学会(BAPEN)が作成したスクリーニングツールです。BMI、体重減少率、急性疾患による絶食の有無から、栄養状態のリスクを3段階に分類します。
入院患者、外来患者、施設入所者など、比較的幅広い事例に使用できます。
評価の方法
MUSTは血液検査の結果や特別な検査は必要とせず、問診と簡単な身体測定だけでスクリーニングできます。
ステップ1:BMI
体重と身長からBMIを計算し、その結果が20以上であれば0点、18.5〜20の間であれば1点、18.5未満であれば2点と点数をつけます。
ステップ2:体重減少率
過去3〜6ヶ月の間に、体重の減少率が5%未満の場合は0点、5〜10%の間であれば1点、10%以上であれば2点と点数をつけます。
ステップ3:急性疾患による栄養摂取困難の有無
急性疾患によって栄養摂取が困難な場合は1点、栄養摂取はできていれば0点と点数をつけます。
ステップ4:ステップ1〜3の合計から低栄養リスク判定
ステップ1〜3の合計点数を計算します。この点数が0の場合は「低リスク」、1の場合は「中等度リスク」、2以上の場合は「高リスク」と判定します。
ステップ5:リスクごとの栄養管理の選択基準
リスク判定ごとに栄養管理の選択基準が示されています。
低リスクの場合は特別な栄養管理は行わず、通常の栄養管理を実施します。経時的な状態変化を見るため、週一回程度のスクリーニングを実施することが推奨されています。
中等度リスクの場合は、経過観察を行います。栄養摂取の状況に改善が見られない場合は、栄養介入を要することがあります。
高リスクの場合は、栄養士またはNSTなど多職種で介入していかなければならない状態です。積極的な栄養改善、エネルギー消費量に合わせた運動負荷の設定など、連携を密に行い栄養改善に努めます。
まとめ
今回は、栄養スクリーニングツールであるMUSTについてまとめました。
栄養状態に合わせたリハビリを実施できるよう、スクリーニング結果が何を表すのかしっかりチェックしておきましょう。
本日は以上です、ありがとうございます。
参考:
・高齢者理学療法学
・Nutrition Care 2011 秋季増刊 まずは栄養スクリーニングから始めよう