低栄養の原因とGLIM診断基準について
今回は低栄養の原因にはどんなものがあるか、また、どのように診断されるかについてまとめたいと思います。
低栄養の原因
低栄養の原因は主に3種類に分けられます。
飢餓(炎症を伴わない)
エネルギー摂取量がエネルギー消費量よりも少ない状態が続くことで起こる低栄養状態です。
生命維持や活動に必要なエネルギーが摂取できていないため、脂肪や筋肉を分解してエネルギーを産生します。その結果、体重や筋肉量は減少してしまいます。
侵襲(中〜高度の炎症を伴う)
手術や外傷、骨折や感染症、熱傷など、急性炎症によって起こる低栄養です。
侵襲時には創傷治癒を行うためにエネルギー消費量が増加します。炎症により異化期(タンパク質分解が促進される時期:CRP3以上)になると、人体は筋肉・脂肪を分解してエネルギーを得ようとします。この時期では、通常より多い栄養投与を行ってもタンパク質分解は抑制されないと言われています。
悪液質(軽度〜中等度の炎症を伴う)
がん、COPD、慢性心不全、慢性腎不全、慢性肝不全、膠原病など、慢性的な炎症の影響により起こる低栄養です。
慢性的な炎症のため、常にエネルギー消費量は増加していると考えた方がいいでしょう。また、疾患の特性から栄養投与がうまくいかないこともあり、摂取量の増加を図れず低栄養になってしまいます。
低栄養の診断
低栄養の診断は2018年にGLIMワーキンググループより発表された「GLIM基準」がよく用いられています。
低栄養の診断までの流れとして、
②(スクリーニングで陽性の場合)アセスメント実施
③診断
④重症度判定
まず妥当性が検証されたスクリーニング検査を実施します。
例えば、MNA®︎-SFやMUST、NRS2002などです。
各スクリーニングの方法はこちらから↓
rehabilitation-nutrition.hatenablog.com
rehabilitation-nutrition.hatenablog.com
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これらのスクリーニングが陽性の場合、GLIM診断基準を用いてアセスメントします。
①現症、②原因をアセスメントし、それぞれから1項目以上を満たす場合に低栄養と診断されます。
その後、重症度判定を行い、体重減少、BMI、筋肉量減少の程度を見て、ステージ1か2かを判定します。
まとめ
今回は低栄養の原因と、診断方法であるGLIM基準についてまとめました。
理学療法士として、栄養状態を把握することは大切です。
低栄養の原因がなんなのか、どのように診断されるのかを知っておくことで、臨床での患者さんへのプログラムの組み方も変わってきます。
ぜひ知識として覚えておきましょう。
本日は以上です、ありがとうございました。
参考:高齢者理学療法学