低栄養のスクリーニングツール「NRS2002」について
今回は低栄養のスクリーニングツールである「NRS2002」についてまとめていこうと思います。
患者さんの栄養状態を把握することは、理学療法士が運動負荷量を決めるのに非常に重要なことです。
NRS2002でどのように栄養状態を把握するのか、知識として覚えていきましょう。
NRS2002とは
NRS2002(Nutritional Risk Screening)は、欧州臨床栄養代謝学会(ESPEN)が開発し、バリデーションを行ったものです。BMI、体重減少、食事摂取量の減少のほかに、急性疾患の重症度を反映させているのが特徴です。
ICUなどの重症患者や術前・術後の症例、悪性腫瘍の症例の栄養アセスメントに適していると言われています。初期スクリーニングと最終スクリーニングの2部構成となっているのも特徴です。
NRS2002の評価方法
NRS2002は、初期スクリーニングと最終スクリーニングの2部構成になっています。
初期スクリーニング
まず初期スクリーニングでは、
・BMI20.5未満
・過去3ヶ月以内の体重減少
・過去1週間の食事摂取量減少
・重症な疾病の有無
を確認し、どれか1つでも該当する場合は、最終スクリーニングへ移行します。
最終スクリーニング
最終スクリーニングでは、「栄養障害の重症度」と「疾病または外傷の重症度」の二つについてスコア化します。
栄養障害の重症度では、体重減少の程度、BMIの数値、食事摂取量の減少の程度のいずれかが当てはまることで、スコア1〜3の中で判定します。どれにも当てはまらない場合は栄養状態正常と判断し、スコアは0となります。
疾病または外傷の重症度については、患者の持つ疾患や外傷を当てはめて、スコア1〜3の中で判定します。当てはまる疾患や外傷がない場合は、疾病または外傷なしと判断し、スコアは0となります。
合計スコアから栄養リスクの有無を判定
最終スクリーニングの「栄養障害の重症度」と「疾病または外傷の重症度」から判定したスコアの合計を計算します。
合計点数が3以上の場合、栄養リスクありと判断でき、栄養プランを開始します。
合計点数が3未満の場合は、週一回のスクリーニングを繰り返し、経過を観察します。また、患者に大手術の予定がある場合は、その後の栄養リスクを回避するために、予防的栄養ケアプランを立てておきます。
まとめ
今回は、低栄養のスクリーニングツールであるNRS2002の方法についてまとめました。
急性期でよく用いられる評価方法であり、リハ栄養でも使用することがあるかと思います。理学療法士として、スクリーニングの結果が何を表しているのかを知っておくことは大切です。ぜひ参考にしてください。
本日は以上です、ありがとうございました。
参考:高齢者理学療法学
Nutrition care 2011 秋季増刊 「まずは」栄養スクリーニングから始めよう」
リハ栄養からアプローチするサルコペニアバイブル