エネルギー蓄積量について解説します。
リハビリ職が運動療法を行うときには、必ずその人の栄養状態も加味して強度を設定しなければなりません。
今回はリハ栄養での総エネルギー必要量を考える際に必要になる「エネルギー蓄積量」についてまとめていきます。
エネルギー蓄積量の計算方法
エネルギー蓄積量とは、成長に伴う組織増加分のエネルギーのことを言います。
人は1日の間に、基礎代謝エネルギーと、活動やリハによるエネルギーを消費(合わせて総エネルギー消費量)しており、これと同等分のエネルギーを摂取することで体重は維持されます。
そこから体重を増加させたい場合はエネルギー蓄積量を増やし、逆に減量する場合は算出したエネルギーをエネルギー摂取量から減らす必要があります。
体重1kgあたりの貯蔵エネルギーは約7000〜7500kcalと言われており、現体重と目標体重との差から、必要とされるエネルギー蓄積量を算出し、目標とする日数で除することで1日あたりのエネルギー蓄積量を算出できます。
例1:体重を1ヶ月で2kg増やしたい場合
7000〜7500(kcal)×2 = 14000〜15000(kcal)
14000〜15000(kcal)÷30(日)= 466〜500(kcal/日)を付加する。
例2:体重を1ヶ月で1kg減量したい場合
7000〜7500(kcal)÷30(日)= 233〜250(kcal/日)をエネルギー摂取量から減らす。
エネルギー蓄積量の個人差
ただし、栄養素摂取から代謝に至るまでには様々な要因があり、全ての方に当てはまるとは言い難いです。
若年者であれば、1kg増やすために必要なエネルギー蓄積量は7000〜7500ですが、高齢者になるとこれが8856〜22620kcalに及ぶと言われます。
30日で割ったとすると、295〜754kcalを1日に付加しなければなりません。
754kcalとなると、ほぼ一食分に相当します。なのでこれだけ付加する場合、3食だけに限らず、間食や就寝前などにも食事を摂取してもらったり、高栄養食を投与するなどの工夫が必要となります。
また飢餓、術後、悪液質などの状態により、栄養の吸収状態も変化します。
適宜体重や体組成を計測し、経過をモニタリングしつつ適切な量を設定するのが望ましいとされています。
まとめ
今回はエネルギー蓄積量について説明しました。
総エネルギー必要量に対しての適切なエネルギー摂取量の設定、運動療法の設定を行うことで、栄養状態が改善されると見込まれています。
リハビリに必要な知識の一つとして覚えておきたいですね。
本日は以上です、最後まで読んでいただきありがとうございます。
参考・引用
リハ栄養からアプローチするサルコペニアバイブル