リハビリ何でも屋

理学療法士がリハ栄養やリハビリのことについて解説していくブログ。少しでも皆様のお力になれれば。

寝たきり高齢者における推定体重の計算方法についてまとめました

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リハ栄養において、 アセスメントを行う際に必須となってくる体重測定ですが、寝たきりの高齢者においては、ベッド式体重計や吊り下げ式体重計などの特別な装置が必要となります。

 

そのような装置がない施設や診療所では、患者を抱えて測定するなどマンパワーが必要となるところもあります。

 

また、在宅における寝たきり高齢者においては、体重測定そのものが困難な場合も多くあります。

 

そこで今回は、比較的簡単に測定できる身体計測値を用いた「推定体重」の計算方法

 について調べたのでまとめようと思います。

 

 

 

 

大西らの考案した計算式

 

大西らは、比較的病状の安定している要介護4〜5の後期高齢者165名を対象として検討し、 栄養評価に用いられる身体計測値を用いての体重推定式を作成しています。

 

男性では、腹囲・下腿周囲長・年齢を用いて

 

男性推定式=0.660×腹囲(cm)+0.702×下腿周囲長(cm)+0.096×年齢(歳)-26.917

 

女性では、腹囲・上腕周囲長・身長を用いて

 

女性推定式=0.315×腹囲(cm)+0.684×上腕周囲長(cm)+0.183×身長(cm)-28.788

 

 

という計算式で推定可能としています。

 

相関係数は、男性でR=0.935(p<0.0001)、女性でR=0.917(p<0.0001)と、高い正の相関が認められています。

 

瀬崎らの考案した計算式

瀬崎らは、起立困難な高齢者121名を対象として、人体を円柱に見立て、比較的容易に測定できる身体計測値(脛骨長、6点法身長、膝高、腹囲)を用いて体重推定する方法を検討しています。

 

結果、脛骨長、6点法身長、膝高それぞれの体重推定式を作成しています。

 

脛骨長から求めた体重推定式

推定体重(kg)

=-15.8-3.53×性別(1or2)-0.106×年齢(歳)+0.743×腹囲(cm)+0.530×脛骨長(cm) 

相関係数:R=0.905)

 

6点法身長から求めた体重推定式

推定体重(kg)

=-39.2-1.95×性別(1or2)-0.088×年齢(歳)+0.676×腹囲(cm)+ 0.277×6点法身長(cm)

相関係数:R=0.928)

 

膝高から求めた体重推定式

推定体重(kg)

=-34.2-1.95×性別(1or2)-0.104×年齢(歳)+0.712×腹囲(cm)+0.778×膝高(cm)

相関係数:R=0.921)

 

*(性別)1:男性 2:女性

 

どの方法も高い正の相関が得られており、中でも脛骨長は加齢に伴う拘縮や変形、円背の影響を受け難く、メジャー1つで測定できるので簡単な方法です。

 

 

 

最後に

 体重推定式についてまとめました。

 

患者さんの状態に合わせて、測定する項目や使用する推定式を利用するとよいでしょう。

 

本日は以上です、最後まで読んでいただきありがとうございます。

 

 

 

 

 

 

 

参考文献

:寝たきり要介護高齢者における体重推定式の作成

https://www.jstage.jst.go.jp/article/geriatrics/49/6/49_746/_pdf/-char/ja

 

:起立困難な高齢者における簡易体重推定法の検討

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspen/31/3/31_843/_pdf/-char/ja

 

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