サルコペニア・フレイルの定義について解説します
サルコペニアとフレイルという言葉が、世間でもだいぶ浸透しつつありますが、何となく使われ方や捉え方が似ていてややこしいこともあると思います。
ということで今回は、サルコペニアとフレイルについてそれぞれの定義と診断基準を書いていこうと思います。
サルコペニア
サルコペニアの定義
と定義されます。
かつては加齢によるやむを得ないものと言われていましたが、昨今では適切な介入により改善すること、加齢以外にも原因があることがわかっています。
加齢変化のみによるものを「一次性サルコペニア」、活動量低下、ガンや臓器不全などの疾患、廃用症候群、栄養障害などその他の要因も関わるものは「二次性サルコペニア」と呼ばれます。
元々は1980年代後半にRosenbergさんが、ギリシャ語のsarx(筋肉)、penia(減少)という言葉を組み合わせた造語だったと言われています。
診断基準
それぞれの研究グループが人種差を考慮した診断基準を提唱しています。
欧州の研究者を中心としたグループ:European Working Group on Sarcopenia in Older People(EWGSOP)
EWGSOPの基準では、低筋量をベースに低筋力または低身体機能のいずれかを満たすとサルコペニア、低筋量のみでプレサルコペニア、全て満たすと重度サルコペニアというように病期が定義されています。
米国を中心としたグループ:International Working Group on Sarcopenia(IWGS)
IWGSの基準は、歩行速度と骨格筋量の低下を同時に満たす場合をサルコペニアと診断するとしています。
日本を含むアジアを中心としたグループ:Asian Working Group for Sarcopenia(AWGS)
AWGSでは、握力・歩行速度の両方を必須項目とし、いずれかまたは両方が低下していれば四肢筋量を測定し、筋量低下があればサルコペニアと判断されます。
このように様々なワーキンググループが基準を作成していますが、どの基準にも骨格筋量低下とそれによる機能低下から構成され、骨格筋量はいずれの定義でも必須項目となっています。
AWGSはEWGSOPの基準を元に、欧米人との体格差や生活習慣の差を考慮して独自の基準を定めています。よって日本で推奨されているのはAWGSです。
そして2019年、新たにAWGS2019が発表されました。DXAやBIAがない施設でも、症例抽出と握力、5回椅子立ち上がりテストを行うことでサルコペニア(可能性あり)と診断できるようになりました。また、確定診断についてはこれまでの流れと変わりないですが、歩行速度の変わりに5回椅子立ち上がりやSPPBを用いることも可能となりました。握力は男性の基準が28kg未満に引き上げられ、歩行速度の基準も1m/秒未満に引き上げられました。
今回の改訂で、かかりつけの医療機関など十分に検査体制が整っていなくても診断できることになり、早期発見・予防につなげやすくなりました。
フレイル
フレイルの定義
フレイルはまだ定義の歴史的変遷が存在しますが、現在広く理解されているフレイルの基本的概念(身体的フレイル)として、
としています。
わかりやすくいうと、身体機能を維持する上で必要なエネルギー予備能の欠乏状態です。
診断基準
現在世界的に最もよく使用される診断はFriedらが提唱したものです。
Friedらは身体的フレイルの定義として、1)体重減少,2)疲労感,3)活動量低下,4)緩慢さ(歩行速度低下),5)虚弱(握力低下)の5項目を診断基準としており、3つ以上に当てはまる場合はフレイルとして診断し、1つまたは2つ該当する場合はプレフレイルとしています。
日本では将来の要介護状態のリスクになることが明らかにされています。
すなわち、フレイルの位置付けとしては機能障害に至る前段階として捉えることができます。
まとめ
サルコペニアとフレイルの定義と診断基準について書きました。これらから、診断基準に重複する項目があるのがわかり、両者の関係性が想像できます。その辺は今後また掘り下げて書いていこうと思います。
以上です、最後まで読んでいただきありがとうございます。
参考・引用
リハ栄養からアプローチするサルコペニアバイブル