サルコペニアによる筋力低下に対する治療には、有酸素運動やレジスタンス運動が推奨されています。
前回のおさらい↓
rehabilitation-nutrition.hatenablog.com
しかし、運動強度の設定を間違えると、返って筋力低下を起こしてしますケースもあります。
今回は運動強度の指標であるメッツについて解説し、設定する考え方をまとめていこうと思います。
メッツとは
メッツ(metabolic equivalents:METs)とは、運動強度の単位であり、安静座位時を1とした時、何倍のエネルギー消費をするかを数値として示したものです。
メッツを用いてエネルギー消費量を計算する場合、以下のような計算式を用います。
ちなみに、1METsは3.5mLO2/kg/分の酸素消費量に相当し、1.0kcal/kg/時(または0.0167kcal/kg/分)のエネルギー消費に相当すると言われています。
例を挙げると、体重60kgの人が3METsの運動(自転車エルゴメーター50wを1時間こぐ)を行うと消費するエネルギー量は
3METs×60kg×1時間=180kcal
となります。
https://www.nibiohn.go.jp/files/2011mets.pdf
メッツの細かい数値に関しては、こちらでまとめられていたのでリンク付けさせていただきます。詳細な動作をかなりまとめてくれていたのでオススメです。
サルコペニア治療におけるMETsの使い方
サルコペニアに対するMETsの使い方として、リハ栄養目標における運動強度指標として用いられています。
リハ栄養の目標の考え方の復習↓
rehabilitation-nutrition.hatenablog.com
例えば、低栄養状態でエネルギー量が不足している患者さんに対して、筋力アップを目的とした高METsの運動を処方してしまうと、筋タンパクの異化が進行し筋量は返って減少してしまいます。
よってリハ栄養では機能維持を目標として設定し、高METsの運動は禁忌となり、運動は日常的なADL能力を維持できる程度(2〜3METs)までで処方されます。
また、栄養状態が改善してきて、目標を機能改善へシフトしていく場合には、徐々にMETsの設定を上げていき、レジスタンストレーニングへとつなげていきます。
このように、目標に応じた運動強度の指標として、「〜METsまで」と言うような使い方をされます。
またリハスタッフとしても、「この運動は大体◯METs」と言うことを知っておけば、今させている運動がどれぐらいのエネルギー消費かを知る事ができ、体重管理などの面で役立つことと思います。
最後に
運動強度の指標であるMETsと、リハ栄養におけるMETsの使い方について、簡単に解説しました。
リハ栄養において運動管理は必須面なので、METsの計算、運動のMETs量などは覚えておきたいところですね。
本日は以上です、最後まで読んでいただきありがとうございました。