リハビリ何でも屋

理学療法士がリハ栄養やリハビリのことについて解説していくブログ。少しでも皆様のお力になれれば。

リハ栄養におけるMETsの活用方法とは

f:id:tami0525:20200725000729p:plain



 

サルコペニアによる筋力低下に対する治療には、有酸素運動レジスタンス運動が推奨されています。

 

前回のおさらい↓

rehabilitation-nutrition.hatenablog.com

 

しかし、運動強度の設定を間違えると、返って筋力低下を起こしてしますケースもあります。

今回は運動強度の指標であるメッツについて解説し、設定する考え方をまとめていこうと思います。

 

 

メッツとは

メッツ(metabolic equivalents:METs)とは、運動強度の単位であり、安静座位時を1とした時、何倍のエネルギー消費をするかを数値として示したものです。

 

メッツを用いてエネルギー消費量を計算する場合、以下のような計算式を用います。

f:id:tami0525:20180726010704p:plain

 

 ちなみに、1METsは3.5mLO2/kg/分の酸素消費量に相当し、1.0kcal/kg/時(または0.0167kcal/kg/分)のエネルギー消費に相当すると言われています。

 

例を挙げると、体重60kgの人が3METsの運動(自転車エルゴメーター50wを1時間こぐ)を行うと消費するエネルギー量は

 

3METs×60kg×1時間=180kcal

 

となります。

 

https://www.nibiohn.go.jp/files/2011mets.pdf

 

メッツの細かい数値に関しては、こちらでまとめられていたのでリンク付けさせていただきます。詳細な動作をかなりまとめてくれていたのでオススメです。

 

サルコペニア治療におけるMETsの使い方

サルコペニアに対するMETsの使い方として、リハ栄養目標における運動強度指標として用いられています。

 

 

リハ栄養の目標の考え方の復習↓

rehabilitation-nutrition.hatenablog.com

 

例えば、低栄養状態でエネルギー量が不足している患者さんに対して、筋力アップを目的とした高METsの運動を処方してしまうと、筋タンパクの異化が進行し筋量は返って減少してしまいます。

よってリハ栄養では機能維持を目標として設定し、高METsの運動は禁忌となり、運動は日常的なADL能力を維持できる程度(2〜3METs)までで処方されます。

 

また、栄養状態が改善してきて、目標を機能改善へシフトしていく場合には、徐々にMETsの設定を上げていき、レジスタンストレーニングへとつなげていきます。

 

このように、目標に応じた運動強度の指標として、「〜METsまで」と言うような使い方をされます。

 

またリハスタッフとしても、「この運動は大体◯METs」と言うことを知っておけば、今させている運動がどれぐらいのエネルギー消費かを知る事ができ、体重管理などの面で役立つことと思います。

 

 

最後に

運動強度の指標であるMETsと、リハ栄養におけるMETsの使い方について、簡単に解説しました。

 

リハ栄養において運動管理は必須面なので、METsの計算、運動のMETs量などは覚えておきたいところですね。

 

本日は以上です、最後まで読んでいただきありがとうございました。