以前、医原性サルコペニアとは何か、その原因についてお話ししました。
rehabilitation-nutrition.hatenablog.com
今回は、医原性サルコペニアにより起こりうるリスクについて触れていきたいと思います。
医原性サルコペニアで起こりうるリスク
廃用症候群
廃用症候群は、疾患による寝たきりや不活発、栄養不足などにより起こる弊害ですが、不適切な安静や禁食、栄養管理など、医原性サルコペニアによって容易に起こります。
・リハを行なっている高齢者に低栄養が高い頻度で見られる
・入院している高齢者のリハ患者の49〜67%にサルコペニア、低栄養が見られる
・施設別の低栄養高齢者の割合では、リハ施設が病院と比較して低栄養の割合が高かった。(リハ施設:50.5%、病院:38.7%)
と、リハビリが関与している患者さんに低栄養が多いというのはよく言われています。
また、高齢者の入院患者においては、原疾患だけでなく他にも多数の慢性疾患を合併している方がいらっしゃいます。そのような方は、入院していきた時点で低栄養状態でADL能力も低く、廃用症候群が短期間で進行するリスクがあります。廃用症候群患者の9割に低栄養が合併するとも言われるので、特にこういった患者さんに対して、早期に状態把握、チームでの介入をすすめることが重要になります。
医原性疾患
医原性疾患は、前回も紹介させていただきました。
医師をはじめとするメディカルスタッフの栄養療法の知識不足により、医療側が作り出す疾患のことです。
適切な管理をするためにも、他職種間の連携を深く、情報共有することで可能な限り防いでいかなければなりません。
摂食嚥下障害による誤嚥性肺炎
サルコペニアの摂食嚥下障害とは、全身の骨格筋および嚥下関連筋群のサルコペニアにより生じる摂食嚥下障害のことです。
当然、医原性サルコペニアによってもこの摂食嚥下障害は起こります。
摂食嚥下障害になることで、さらに食事摂取量は減少し、低栄養を招き、免疫力も低下します。また、食物残渣や唾液の誤嚥による誤嚥性肺炎が起こるリスクが高まります。
肺炎による死亡率を見ると、2011年から脳血管障害を上回り、死因の第3位となっています。
これらを予防または治療するために、摂食嚥下リハによる早期経口摂取への移行、それに伴う栄養管理などが勧められています。
ただし、すべての患者に早期の経口摂取が可能というわけではなく、STさんは管理栄養士やDrと密に連携して、現実的に可能であるかどうかを十分見極めなければなりません。
最後に
これらの他にも、起こりうるリスクは存在するかもしれません。(今僕が思いついてないだけで)
やはり大事なのは、これらのリスクを起こさないためにも医原性サルコペニアをできる限り起こさないようにするのが一番だと考えます。
本日は以上です、最後まで読んでいただきありがとうございます。
参考文献
:リハ栄養からアプローチするサルコペニアバイブル