リハ栄養介入でリスクのあるRefeeding syndromeとは?
リハ栄養を実施する上で、介入することにより生じるリスクを知っておくのも大事です。
今回はRefeeding syndromeについて説明していきます。
Refeeding syndromeとは
低栄養状態にある患者に対して、急激な栄養投与を行った場合、増加したインスリンによって、水・糖・カリウム・リン・マグネシウムの血管内から細胞内への急速な流入により、低血糖や電解質異常により重篤な合併症をきたす病態であります。
合併症の症状として
リン、マグネシウムなどのミネラルの欠乏により
などの症状が出ます。 特に気をつけなければいけないのが低リン血症で、1.0mg/dl以下になると上記のような症状が出現します。ヘモグロビンの酸素運搬機能の低下からクエン酸(TCA)回路の機能不全をきたし、心停止を引き起こします。
また、ビタミンB1の枯渇により
これらの症状が出ます。
診断基準
RFSには明確な診断基準は示されていません。
RFSのリスクに関するガイドラインはNICEのものがよく知られており、
のうち1項目を満たす。
あるいは
のうち2項目以上満たすことがリスクとされています。
このリスクは、経口・経腸・静脈栄養のいずれでも起こり、投与エネルギーが多く、増量が早いほど起こりやすいとされています。またこのリスクは、2週間ほど持続します。
予防と治療
リスクの持続する2週間の間は、投与エネルギーは10kcal/kg/day以下(BMI14以下、または15日以降の絶食の場合は5kcal/kg/day)から開始し、4〜7日かけて徐々に増量します。ビタミンB1と電解質の補充を優先した管理とします。(Permissive underfeeding)
また、電解質のモニタリングと補充は少なくとも7日間は実施する必要があります。
スクリーニング検査項目としては、通常の栄養状態把握のための項目に加え、無機リン、マグネシウム、カリウムの計測を行います。
まとめ
Refeeding syndromeについて説明しました。
リハビリ職がこの症候群で考慮する点として、調整期間中の対象者の心身状態を注意深く観察し、症状が出ていないかをリハビリ中にチェックしておくことが重要と考えます。
本日は以上です、最後まで読んでいただきありがとうございます。
参考・引用
リハ栄養からアプローチするサルコペニアバイブル