サルコペニア肥満について解説します。
サルコペニアは、骨格筋の量的・質的な変化により、筋肉量、筋力が低下しフレイルや老年症候群に関連します。
おさらい↓
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また肥満においては、特に内臓脂肪型肥満においてインスリン抵抗性を基盤としたメタボリックシンドロームにつながる病態です。
今回はこの二つの病態を併せ持つ「サルコペニア肥満」について解説していこうと思います。
サルコペニア肥満とは
サルコペニア肥満は、サルコペニア(骨格筋量の減少)と肥満(体脂肪量の過剰蓄積)を併せ持った状態です。
一般的な加齢による体組成の変化は、骨格筋量の減少と体脂肪量の増加が特徴的で、体組成は変化しても体格指数(BMI)は変化しない場合も多いです。
*あくまでイメージ図です。実際のデータではありません。
↑BMIや体格は見かけ上同じでも、筋肉量や体脂肪量の割合は変化すると言うイメージ図。
このような加齢変化に起因するため、一般的にサルコペニア肥満は若年層より中・高齢者において頻度が高くなります。
*ただし最近の調査により、若年女性においてもサルコペニア肥満の割合が高くなっていると言われています。
サルコペニアと肥満の関連性
関連性の要素として、
これらの病態生理学的な要素が互いに影響しあい、サルコペニアに陥る可能性が考えられています。
インスリン抵抗性
インスリンは糖尿病のキーワードとして有名で、血糖値を下げる作用がありますが、他の作用として、たんぱく質合成を促す作用もあります。
加齢に伴いインスリン抵抗性は進みタンパク質合成を促す効果は弱くなると言われます。さらに内臓脂肪型肥満となると、インスリン抵抗性はさらに高まります。
これにより、筋肉の合成能力が低下し、筋量減少に繋がります。
さらに、筋肉にインスリン分泌を促進する機能もあるため、筋量が減少することでさらにインスリン抵抗性は高まってしまいます。まさに負のサイクルです。
炎症
脂肪組織は、CRP、TNFα、IL-6、IL-1βなどの炎症性サイトカインを生成します。
炎症が続くと慢性化し、炎症による骨格筋の直接的なたんぱく質分解などにより、筋萎縮やサルコペニアの進行に関与します。
ホルモン変化
脂肪が蓄積し肥満となることにより、アディポネクチンやレプチンが抑制されます。アディポネクチンが抑制されると、インスリンの感受性が低下し、筋組織において慢性炎症を持続させると言われています。
また、レプチンが抑制されると、インスリン抵抗性やGHの低下を介して、間接的にサルコペニアに関連すると考えられています。
酸化ストレス
酸化ストレスによりミトコンドリアや核内DNAが障害され、アポトーシスを刺激し筋繊維の萎縮や筋細胞の喪失をきたすと考えられています。
身体活動
サルコペニアは、身体活動量の低下によるエネルギー消費量の減少によって肥満リスクを増大させると言われています。
まとめ
サルコペニア肥満の概要についてお話ししました。
近年では過度なダイエット方法により、若年層においてもサルコペニア肥満が増える傾向にあるとされています。
若年・中年層への知識共有が今後必要になると思います。
本日はここまでです、最後まで読んでいただきありがとうございます。