リハビリ何でも屋

理学療法士がリハ栄養やリハビリのことについて解説していくブログ。少しでも皆様のお力になれれば。

リハ栄養ケアプロセスについて解説します。その2

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リハ栄養ケアプロセスは、障害者やフレイル高齢者の栄養状態・サルコペニア・栄養素摂取・フレイルに関連する問題に対して、質の高いリハ栄養ケアを行うための体系的な問題解決手法です。

 

おさらい↓

 

rehabilitation-nutrition.hatenablog.com

 

 今回は前回の続きで、③リハ栄養ゴール設定、④リハ栄養介入、⑤リハ栄養モニタリングについて解説していきます。

 

 

リハ栄養ゴール設定

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リハ栄養ケアプロセスの図です。
 
 
 
リハ栄養診断を行った後、介入目的や目標を明確化するためにゴール設定を行います。
 
この際、リハ栄養診断と整合性のあるものでないといけません。
 
また、期間や介入方法などの目標設定が曖昧になると、その後のモニタリングでの指標にもブレが生じ、効果判定もできなくなります。
 
そこで、ゴール設定を行う場合、
 
S:具体的(Specific)
M:測定可能(Measurable)
A:達成可能(Achievable)
R:関連した(Related)
T:期間が明確(Time-bound)
 
といった、SMARTなゴール設定を心がけます。
 

SMARTなゴール設定

このようなゴール設定に当てはめることで、目標がブレずに効果を検証できます。

 

SMARTなゴール設定を行うためのチェックポイントも以下に記します。

スマートなゴール設定のチェックポイント



リハ栄養介入

 リハ栄養介入は、「リハから見た栄養管理」と「栄養から見たリハ」の2種類があります。
 

・リハから見た栄養管理

ICFを考慮した上で、栄養状態・サルコペニアを改善し、機能・活動・参加、QOLを最大限高める栄養管理のことを言います。
 

・栄養から見たリハ

栄養状態・サルコペニアICF、栄養管理を考慮した上で、栄養状態・サルコペニアを改善し、機能・活動・参加、QOLを最大限高めるリハを指します。
 
 
一見よく理解できないところではありますが、つまりは
 
・リハスタッフは自身の行うリハビリが最大限効果が出るように、摂取エネルギーや他疾患の影響を十分考慮して行う。
 
・栄養は、今実施している栄養管理が最大限効果が出るように、リハビリによる消費エネルギーや他疾患の影響も十分考慮する。
 
・また、両者において不足な面があれば適宜情報交換や指導を行い、お互いを管理する。
 
 
といったニュアンスだと考えています。
 
それぞれの介入方法の考え方などは、以下をご参照ください。
 
各種エネルギーの計算方法のおさらい↓

rehabilitation-nutrition.hatenablog.com

rehabilitation-nutrition.hatenablog.com

 

栄養管理におけるリスクのおさらい↓ 

rehabilitation-nutrition.hatenablog.com

rehabilitation-nutrition.hatenablog.com

 

 

 

リハ栄養モニタリング

リハ栄養モニタリングでは、これまでの介入の効果判定を行います。
 
そして今までのリハ栄養介入を継続するか否かを判断し、継続しない場合はまた新たなリハ栄養介入プランを作成します。
 
モニタリングのポイントとして、
 
①目標達成できなかった場合は、その理由を熟慮する
②モニタリング指標はリハ栄養診断や設定したゴールと合わせる
③指標に合わせた適切な頻度で行う
④誰が何のモニタリングを行うか的確にする
 
などが挙げられます。
 
モニタリングは初回同様、各職種の得意分野を生かして役割分担し、結果を統合してリハ栄養介入の効果を見ます。
 
 

最後に

以上、2回にわたりリハ栄養ケアプロセスについて解説しました。
 
リハ栄養を行うにあたり、他職種での介入、モニタリングは不可欠で、これらを円滑に実施するのに有用な指標となります。
 
 こういった流れを他職種が理解しておくことが重要だと考えます。
 
 
 本日は以上です、最後まで読んでいただきありがとうございました。
 
 

 

参考文献

:リハ栄養からアプローチするサルコペニアバイブル